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人工知能と写真





新しい年、2024年がやってまいりました。

新春のお慶びを申し上げます。


2023年12月27日「ニューヨーク・タイムズ」が、AI関係企業2社を著作権の侵害でアメリカの裁判所に提訴しました。


一方、ドイツのメディア大手「アクセル・シュプリンガー」は、すでに「オープンAI」との提携を発表しているとのことで、メディアによってもAIへの対応が分かれているようです。


我らプロカメラマンの著作権も、今まで以上に厳しく管理する時代になってきました。


すでに知的財産を不当に侵害されたとの理由で、有名作家や芸術家などはAI開発企業に対して、それぞれが訴訟を起こしており、ニューヨーク・タイムズもその流れに加わった形です。


ニューヨーク・タイムズが侵害されている内容の一部は、AIがニューヨーク・タイムズの記事とほぼ同じ回答をしているにもかかわらず、その引用元として正確な表示をしていないのだそうです。


日本経済新聞によれば、ニューヨーク・タイムズの主張としては


▶︎対価を払わず、コンテンツを使う行為は「タダ乗り」にあたる

▶︎生成AIが作成する文章は、ニューヨーク・タイムズの記事を繰り返し要約しているし、スタイルを真似ることもある

▶︎記事利用に対する「公正な対価」を要求してきた

▶︎オープンAIは不正取得した知的財産でAIの精度を上げ、会社の価値を高めた

▶︎生成AIが存在しない内容や記事に「ニューヨーク・タイムズによると」と誤って紹介するケースがある

▶︎生成AIのハルシネーション(幻覚、誤答)によって、ニューヨーク・タイムズの評価にキズがつく危険性がある


と報じています。


近い将来メディア側は行く末のダメージを想像するに容易であり、更に現時点では損害に値する賠償額すら提示されていないとのことです。


今後行われる裁判は、AI関係企業と様々な知的財産を保有するクリエーターや制作者とで、著作権の白黒を明確に定義していく「礎」になるものではないかと思います。


今までアナログで蓄積されてきた「芸術」「美術」「技術」「写術」「作曲」・・・


そして経験と労力、発想、表現力など様々な頭脳を駆使して表現された「随筆」や、実態を足で取材するジャーナリストの「記事」


いったいAI関係企業は、これらを勝手に「人工知能化」してしまう権限を持っているとでもいうのでしょうか。


AI技術はとても便利であり、技術の向上や情報収拾のスピードアップにもつながり、いいところだらけに感じるのも無理はなく、今までの制作者たちが「苦労」してきた労力を、相当減らしてくれる優れた技術だと思います。


だからこそアナログで生成される「知的財産」はその素材として扱われ、いとも簡単にAIに吸い上げられてしまうのでしょう。


便利になればそれが当たり前になり、当たり前になればそのビジネスの対価は衰え、結果として失業してしまう制作者たちは、盲目のうちに犠牲者になっていくのではないでしょうか。


▶︎こんな「盲目のうちの犠牲者」を、誰が望んでいるの?

▶︎AIが吐き出した情報につける対価はAIを操作する人、AIを開発した人なの?

▶︎そもそも人様の情報を搾取したAIの情報に対して、肖像権や版権、著作権てどうなるの?


AIは人工知能として機能するために膨大な量の「情報をインプット」させられるそうですが、これはアナログの人間に置き換えると「勉強する」ことなのだと思います。


人間は「勉強する」と賢くなり、結果「先生」や「保育士」「検定士」「介護士」などと、その技術力を認めてもらえるようになります。


その認めたもらえた、いわゆる肩書きで就職先が選べたり報酬の対価が決まります。


一方AIは企業の開発力はさておき「情報をインプット」させれば、様々な人造人間らしきものができあがると認知され、そこに存在しうる「肩書き」はいったい何になるのでしょうか。


今回ニューヨーク・タイムズが行なった著作権への問題定義は、我らクリエーターにおいても重要な課題でもあります。


これは自身の感性やセンスで培った大切な作品を、誰のおとがめもなくさっさと流用されないよう、それぞれが自己防衛手段を持たなければならない、シビアな時代の到来なのでしょう。


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